Netflixオリジナル作品の中でも単純で面白いのは「ハノーバー高校 落書き事件」ではないでしょうか?
オリジナルドラマはいくつかあるですけど、タイトルを見てまず惹きつけられます。
ん?落書きごときで事件に?それを物語に?
それだけでも興味が湧いてきて見てみると面白かったです。
また最近密かにブームになっている映画の手法の一つである“フェイクドキュメンタリー”というのを取り入れている作品なのも興味があります。
そこで最新作「ハノーバー高校 落書き事件」を紹介します。
Contents
ストーリー
2016年4月2日、ハノーバー高校4年のディラン・マクスウェルは校内の放送部の学生が制作するドキュメンタリーの主人公としてカメラの前にいた。
学校の駐車場にある教員の車27台に落書きをした容疑者として退学処分を食らっているのだ。
ディランは教員たちが頭を抱える問題児であり、何度罰を与えても更生の見込みがないとされてきたのだ。
故に本件の犯人は、ディランであると確たる証拠があるわけでもなしに教育委員会は判断したのだ。
しかしドキュメンタリーの制作者は、十分な証拠もなくイメージや貼られたレッテルで犯人扱いされる不条理な現実に対して、ドキュメンタリーで真実を突き止めることにしたのだ。
ディランを犯人ではないとする証拠もあれば、逆もある。
様々な学生の証言やインスタグラム等の映像素材、その他の調査から真実を模索する中でそのプライバシーを無視した手段に、ドキュメンタリー制作の続行さえ危ぶまれる。
それでも、調査を続ける制作陣。
そしてついにディランが犯人ではないという証拠を見つけることに成功する。
しかし、それはディランの恋人の浮気を立証し破局に追い込んだり、ドキュメンタリーの中で周囲の人間がディランを白い目でみていたこともディランの心に大きな傷を残した。
その後、真犯人は生徒会長のクリスタ・カーライルであるという説が浮上する。
事件当日のアリバイが崩れたのだ。
みなに愛され、常に成績トップなクリスタが犯行に及んだ動機は、アメフト部コーチのラファティ先生に対する個人的な恨みからのものであったのではないか…と。
しかしあるのは状況証拠のみ。
確たる証拠がない限り犯人と決めつけるのは教育委員会の二の舞であると考えた制作陣。
故に、この事件の犯人は未だに謎のままである。
勝手に抱いたイメージ、貼られたレッテルで人を判断することがその人の人生をも変えることがある。
たった高校の3年間、大学の4年間であったとしても…。
感想
一見バカバカしく思える導入から、とても重く真面目なテーマが浮かび上がる、その様に感動させられ、考えさせられます。
バカがつくほど真面目です
落書きがディランの描いたものではないとする証拠は、なんと玉毛の有無というなんともバカバカしいものでした。
ディランは、日常的に学校の白板に落書きをしているのですが、それには必ず玉毛まで書かれていました。
そう、かの伊達政宗が謀反を企てたと疑われた際、書物にある華押(サインのようなもの)のわずかな違いを指摘し、疑いを晴らしたとされるそれに似た話がでてくるのです。(伝わりづらい)
このように、笑ってしまうようなくだらないことを真面目に、証拠として立証してゆく過程がとにかく面白いんです。
ときには3DCGで事件現場を再現し、ときには実際に自分たちで落書きを描いて、一本あたりにかかる時間を計るなど、調べ方は多種多様。
中でも一番驚いたのは、ひとつのパーティで何時に何が起きたかを調べるために、参加者のインスタグラムの動画を集める場面です。
今の時代、誰もが撮影者になり、いつどこで、何が撮られ、どこにアップされてもおかしくありません。
そんな時代性を如実に描き出し、事件の決定的証拠を抑える流れは、まるでシャーロック・ホームズの推理のようで気持ちがいいのです。
ドキュメンタリーを作ることのリスクと可能性
本作はフェイクドキュメンタリーですが、映画内ではあくまでもドキュメンタリーを撮っているという設定です。
そしてそのドキュメンタリー制作自体にもフォーカスがあう場面がいくつもあります。
本来ドキュメンタリーは、対象の出来事や人物に対し、常にフラットな視点でいなければなりません。
しかし、一度カメラを向けそれを編集するという“作り手”がいる以上、どうしたって演出がかかるのは免れないことなのです。
本作中でも作り手がディランに「信じてたのに!」と激昂する場面がありました。
確実に作り手に、ディランに対する信頼や愛着、一方的な視点があったことになります。
また、今の時代ならではですが、制作者はこのドキュメンタリーを随時ネットにアップしているという設定です。
そしてその動画は瞬く間に人気を博し、ディランを応援する声が高まる一方、すべての可能性を検証するので、校内の教員、生徒の様々な個人事情が全世界に公開されることになります。
制作者たちは非難を浴びることにもなりました。
ドキュメンタリーが人の人生を変えてしまうのです。
このようにドキュメンタリーを作ることそのもののリスクが、制作者自身にも対象者にも降りかかるという現実を生々しく描いているあたりがとても秀逸なのです。
しかし、ただ負の側面ばかりではなく、実際このドキュメンタリーのおかげでディランの無実は晴らされました。
飽くなき探究心と、折れない心が産み出したこの結果は、ドキュメンタリーを作ったことで成し得たことなのです。
故に、本作ではドキュメンタリーの対象人物のメインストーリーと共に、ドキュメンタリーを作ることそのものの様々な側面を描き出している秀作なのです!
推理ものとしての魅力
もちろん無実を証明すると同時に真犯人を探すのがメインストーリー。
ですから、毎度毎度「なるほど!」と膝を打つ着眼点や、推理にワクワクが止まりません。
使用されたスプレー塗料は、最初は吹きこぼれがあるため、27台の車の中で、誰の車が最初に標的にされたのかをあぶり出し、その人に恨みを持つ人物のアリバイを調べて行く…など。
大学生の放送部とは思えない頭の回転の速さに驚かされます。
そして毎回ラストのクリフハンガー(次回が早く見たくなる引っかかり)がうまいんです!
だから一気に見てしまうんですよね……。
まとめ
どうだったでしょうか?
なかなか言葉では伝えづらいところもありますが、これがストーリーです。
『ハノーバー高校 落書き事件簿』がだいたいこんなものだということはわかりましたか?
◯笑ってしまうような可能性でも徹底的に調査!
◯フェイクドキュメンタリーで描くドキュメンタリーの本質!
◯難しいこと抜きに、無茶苦茶面白い!
全8話と、あまり長くなく見やすいので、是非みなさんもご覧ください!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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