『僕らは最悪の状況にいた。』から始まる戦争ドラマです。
いきなりどうした?って感じになります。
運命が交差する場所で、足掻きもがく青年兵士の生き残りを賭けた撤退戦ということで映画『ダンケルク』観てまいりました。
まずは、ノーラン監督がすばらしい傑作を作ったといいましょうか。
作家性の高い演出面も多彩な視点ですばらしい映画でしたね。
なんというかこれだけの品質の作品をコンスタンスに世に送り出す才能にはもはや敬服するしかありません。
しかも作品自体もちゃんと興行収入は高くヒット作を生む監督ともいわれています。
21世紀の映画史ではノーラン監督の名前はすでに記載されそうな予感がしています。
同じ時代の映画ファンとして足を向けて寝られない存在です
Contents
ダンケルクってどんな映画?監督のノーランも大絶賛!
いきなり大絶賛から始めさせていただきましたが、ここで一応この映画の監督クリストファー・ノーラン大先生の華麗な経歴からご紹介。
1998年インディーズ映画『フォロウィング』で注目された監督は二作目の『メメント』で大当たり。
いきなり21世紀を担う俊英監督の一人として認知されます。
その後『バットマン』のリブートシリーズの監督を務め、『ダークナイト』で2000年代における最高の監督として称賛されて、大体一年に一本程度コンスタントに大作映
画の監督を務めていらっしゃる。
まぁ、早い話が今一番、映画を愛し、映画の神様に愛された人物でございます。
ついでに有名映画監督には珍しく(?)かなりのイケメンです。
そんな彼の作風はCGに出来るだけ頼らない質実剛健、セリフは少な目で説明も少ない。
画面は暗くその中にさす光の演出が多い、どんな映画でも哲学的な要素を入れ込んでくるなどなど、たぶん友達にはなれない気がする印象ですね。
最後に彼の作品に共通する特徴として、「どの作品も同時代の映画と一線を隔すほどの見ごたえがある」があげられるでしょう。
くぅー、かっこいいー、僕も生まれ変わったらノーランみたくして下さい神様。
まあそんな訳で、彼の最新作が『ダンケルク』ということです。
ダンケルクとは、第二次世界大戦のヨーロッパでドイツがフランスに進行を開始した時期の戦いで、同盟軍がドイツに追い込まれた場所がダンケルク。
その際にイギリス軍が本土に一度兵士を撤退させて態勢を整えようとする作戦がダイナモ作戦であり、この映画ではそのダイナモ作戦が描かれます。
ダンケルクのあらすじやネタバレ!マークライアンスがダンディ!
この映画は、「逃げ惑う兵士の視点」、「助けにむかって航行する船」、「援護している戦闘機パイロット」の陸海空の三視点で描かれており、兵士の1週間、船の1日、パイロットの1時間が最後に交差するように計算されて交互に描かれます。
はい、もうすでに難解ですが、ついて来てくださいね。
主人公のトミー(フィン・ホワイトヘッド)は仲間が全滅してしまい、命からがら撤退地点の海岸にたどり着きます。
海岸には兵士が列をなして撤退を待っていますが、船は一隻のみ。
そこでトミーと同様に列にいる無口な兵士ギブソン(アナイリン・バーナード)と一緒に負傷者を護送することで自分たちも護送船に乗ろうとしますがあえなく失敗します。
船には乗れず、その後出航してしまいましたが少しも進まないうちにドイツ軍によって沈没させられます。
一方、イギリスでは民間船を徴発してダンケルクまで兵士の回収に向かわせる作戦が決行されており、小型船の船長(マーク・ライアンス)は海軍の兵士に船を渡さず息子とその友人の三人で救出に出発します。
これが船の視点です。
また一方では空軍の戦闘機が三機の編成で撤退の援護に向かっており、空の視点を担当する空軍兵士ファリア(トム・ハーディ)となります。
陸では兵士たちが撤退のためにあれやこれやと画策しますがなかなか上手くいかず。
海では途中、いろいろな災難が降りかかってきて前途多難。
空では燃料が少なくなる中、激戦が繰り返されファリアの一機だけになってしまいます。
いやもうしんどいですし英雄が不在ですよね。
試練だらけであっという間に時間が進むので理解しながらではないとちょっと厳しいのかも。
ただ終盤で民間船が水平線に並んだときの解放感もひとしお、生きるって素晴らしいです。
そしてラストのメッセージがまたいいんです。
メッセージといっても言葉ではなく表情ですがこれは是非鑑賞してほしいし、意味を受け取ってほしいので書きません。
ああ、そうか。と非情な事実が重い名シーンです。
ダンケルクの感想や考察!
もはやこれ戦争映画っていうよりはホラー映画じゃないのってくらいに私は恐怖で包まれましたが。
やはりこのようなジャンルの映画は怖いと感じる人は多いと思います。
だからあえてノーラン監督の質実剛健な演出はは際立ちます。
その地獄で希望を見つけるために悪戦苦闘する兵士たちを容赦なく選別するシーン。
海岸の砂浜でいつ来るともしれない船を待つ兵士たちの頭上に襲い来る敵の戦闘機。
乗り込んだ船を容赦なく沈没させるUボート。
移動もままならない船中や桟橋で救いを待つ味方。
敵のドイツ軍の顔が見えないようになっていまして、無表情な兵器の表現演出がされています。
機転が効こうが勇敢だろうが歴戦の強者だろうが、あっけなくです。
逃げたい助かりたいという感情以外何も沸かないような106分です。
この映画の特徴的な部分は会話やキャラクターのエピソードといったドラマが極端に少なく、主人公たちが物語を動かすのではなく、映画の中での事象が主人公たちを動かすという構成でしょうか。
戦うという選択肢がなく逃げるしか選択肢がないのでそうなっているのですが、一兵士が大活躍するような胸がすくような映画もやはり楽しいです。
こうした運命の存在を感じさせる映画も面白いと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。映画『ダンケルク』先にも書いたようにドラマ性を極端にへらして、事象のみで物語を進めたり、三つの時系列の違う事柄を並行して描いたりと、なんでこうしちゃうのかなと思います。
それはすべて画面から目をそらさせない為の工夫ではないかと思います。
相手方が描かれていない為に物事はいきなり起こります。
それが映画全体の異常な緊張感を持続させており、何もできず逃げるだけの主人公への共感を持たせるうまい手法だったと思います。
ただやはり個人的に映画の品質は高いと思いますが、全員が面白いと思うような映画かといわれると少し悩んでしまう所。
面白さはお約束できませんが臨場感や恐ろしさ絶望感を味わえる質の高い映画だったと思います。
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